四日前

今日も今日とて遅刻気味に学校へ向かった。
高崎線の電車の中で、暑苦しいスーツのジャケットを脱ぎ手に持って涼む。
しばらくボーっとしていると、ドアのあたりにふわふわしているものを認めた。
ガガンボだ。
高崎線は当然高崎というまあぶっちゃけ田舎のほうから来るので、どっかで紛れ込んでしまったのだろう。
ガガンボは外に出ようと必死にドアに体当たりを試みていた。
ドアの下のほうばかりにアタックしていたので、ドアの脇にいた人たちはガガンボに気付く様子もない。
次の駅までその場に留まっていればドアが開いて外に出られるのだが、馬鹿な虫だとそのうちドアを諦めどっかに離れて行ってしまうので、その場でオレだけが存在に気付いたであろうそのガガンボを、オレはなぜか応援するような気持ちになり始めていた。
そして我慢に我慢を重ねて彼はとうとう次の駅までそのドアへのアタックを試みることに成功した。
おお、諦めなくて良かったねえ。
そしていよいよドアが開き、ガガンボは念願の外の世界へと。
次の瞬間。
彼は降りてきた人に踏み潰された。
なんか朝から嫌な感じだったが、乗り換えたらすぐ忘れた。